日頃ヤマハTHRを愛してやまない僕だが、THRとは別にお気に入りの電池駆動アンプがある。
BackstarのFLY3というアンプだ。おそらく(ディレイ部分以外)アナログ回路で組まれているであろうこのアンプはデジタルモデリングアンプとは一線を画すエフェクター乗りの良さを持っている。
僕の個人的な感覚だが、デジタルモデリングアンプは外部エフェクターとの愛称が悪いものがいくつも存在する。ギター直の信号で最適な音を出すように設計されているからだろうか?とにかくペダルを繋ぐと望んだものとは違う音が出る。歪みの後ろに歪みを繋いだ時のような具合だ。そのせいで長らく15W程度のアナログ自宅用アンプを手放せずにいた。
FLY3は違う。ペダルを繋いでも違和感がない。単一のペダルでも、マルチエフェクターでも、思った通りの音が出る。FLY3以外のアナログアンプは不要になった。爆音が出せない自宅環境では、こいつがあれば十分だ。
エフェクターを繋いでいない状態の音も良い。特にクリーンはとても綺麗だ。使いにくいと評されるISFは元々同社のHT-1を使っていた僕には何の問題もない。クリーンチャンネルでもGAINを上げるとそこそこ歪んでしまうので超クリーンな音ではないが、10時程度のGAINならクリーン~クランチの手前くらいの音になって気持ちがいい。
歪みチャンネルは…頑張ってはいる。マーシャルなどの電池駆動アンプとは比べ物にならない。オレンジのマイクロクラッシュよりも良い。ちょっと高めのAC電源自宅用トランジスタアンプ程度のレベルにはなっている(変な喩だ)歪みにうるさくない人なら許せると思う。
そして外部入力。THRほどではないにしろ、AUXから入った音も綺麗だ。バスレフが効いているのか、低音もちゃんと出る(これがクリーンの美味さにも関わっている)
スマホやタブレット、ノートパソコンの内蔵スピーカーに満足できず外部スピーカーを使っている人はそれをFLY3に置き換えても良いだろう。ちょっとしたイベントの音響にも使える。実は僕が主催するヨーヨーイベントや、依頼されて出演したステージ、出店したブースなどで実際にFLY3を運用したことがある。普通に使えた。THR5ですらかさばると感じるくらい荷物が多い時にはFLY3の出番だ。
ヘッドフォンアウトの音も良い。HT-1の時も感じたが、Blackstarのヘッドフォンアウト(スピーカーエミュレーションアウト)は自宅用アンプという大きなカテゴリーの中で見てもかなり良い方だ。VOXでズッコけた人はきっと驚くだろう。もちろんAUX入力にはエミュレーション効果がかからないので練習用の音源も濁りなく聞こえる。テレビ、ラジオなどをつないで、近所迷惑にならない「ながらギター」を楽しむのもいいだろう。ながら好きの僕としてはそっちの使い方をすることのほうが多い。ながらマンにとってAUXは重要なのだ。
唯一残念なところは内蔵エフェクトがディレイなところ。HT-1の時にも感じていた不満だ。どうせならリバーブを内蔵して欲しかった。小さいながらもLEVELとTIMEのツマミがあるので使い方によってはディレイらしい使い方をしないこともできるのだが…。ケチをつけてしまったがちゃんとディレイとして使う場合はとても良い。と、フォローもしてみる。
オススメのアンプを聞かれるとTHRと答えてしまいがちだが、THRは高価だし、住まいの環境によってはTHR5ですら邪魔になることもあるだろう。
FLY3は費用と置き場の問題をクリアする。バタフライ型ヨーヨーを6個2段重ねたくらいのサイズしかない。
専用キャビネットを接続すれば6Wのスタックアンプに変身してしまう拡張性も魅力だ。キャビネットの方はまだ手にしていないのだが、いずれ機を見て購入しようと考えている(僕が買った時はまだ全部入りパックが売られていなかったのだ)
FLY3、愛しいアンプである。小さいアンプが欲しい人はぜひ選択肢の中に入れて欲しい。
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